「じゃあ、あんたが作ってみろよ」第2話感想
第2話「忍耐女よ、すすめ!」を観終えて、胸に残るものが多すぎて、少し整理しながら書いておきたい。
第2話のざっくりあらすじ
鮎美(夏帆)は、勝男(竹内涼真)からのプロポーズを断り、自分の居場所を探し始める。
髪色を変えても気づかない勝男との距離感や、渚(サーヤ)やミナト(青木柚)との出会いを通して、
「自分の好きって何?」というのが今回のテーマ。
勝男にも変化の兆しが。
後輩の南川(杏花)や白崎(前原瑞樹)との関わりで、
彼の中に眠る“古い常識”が少しずつ揺らぎ始めていた。
「レシピだけでいい」の言葉が突き刺さる
今回の一番の衝撃は、やっぱり勝男の何気ない一言。
「レシピだけでも…」
この言葉が、鮎美にとって“自分という存在が軽く扱われた”ように聞こえた瞬間、
彼女の中で何かがプツッと切れる。
勝男に悪気はなかったのかもしれない。
でも“言葉”って、伝え方ひとつで愛にも刃にもなる。
このズレこそ、2人の関係を象徴していた。
顆粒だしを握って走る勝男の姿がちょっと滑稽だった。
格好悪いけど、まっすぐで、どこか人間くさい。
鮎美という“かつての私たち”
このドラマのテーマは「他人軸で生きてきた自分の人生」だと思う。
第2話で鮎美が初めて意識する「自分の好き」は、
ずっと誰かに合わせてきた彼女がようやく踏み出す第一歩。
「どうすれば好かれるか」じゃなくて、
「私は何が好きか」。
このシンプルな問いが、あんなに重たく響くとは思わなかった。
渚(サーヤ)の何気ない言葉が鮎美の心をほどいていく感じも良かった。
自分を取り戻すって、派手なことじゃなくて、
小さな選択の積み重ねなんだと感じた。
ミナトという新しい風(と、ちょっとした不安)
新キャラ・ミナト(青木柚)の登場も印象的。
フレッシュで距離の近い彼は、鮎美にとって刺激そのもの。ただ正直、少し“距離の詰め方”が早すぎて、現実だったら絶対引くやろ。
とはいえ、物語的にはスパイスになってて悪くない。
彼がどう鮎美に影響していくのか、第3話以降の注目ポイントになりそう。
勝男の変化と“化石男”の内側
第1話で「昭和に取り残された男」だった勝男。
でも第2話では、その裏にある孤独や不器用さが見えてきた。
父親から植え付けられた「男は弱みを見せるな」という呪縛。
それを引きずったまま、誰かを守ろうとして空回りしてる感じ。
後輩の南川や白崎と関わる中で、少しずつ彼の価値観が揺れていくのが分かる。
カレーに筑前煮を入れてみたり、もつ焼きを楽しんでみたり。それに合わせてコークハイを合わせたり。
ほんの小さな“冒険”だけど、それが彼なりの一歩だと思う。
勝男をただの頑固おやじとして描かないこのドラマのバランス感覚、ほんと好き。
脇役たちが支える物語の深み
このドラマは脇役がちゃんと生きてる。
渚は鮎美の“鏡”のような存在。
自由でまっすぐで、彼女が憧れる未来の形。
南川(杏花)は勝男への“新しい風”。
価値観を突きつけ、彼に考えさせる。
白崎(前原瑞樹)は、ほどよい距離感で見守る中立ポジション。
メインの2人の変化を浮かび上がらせる、絶妙な配置。
この群像のバランスが心地よい。
少し気になったところ
全体的に完成度は高いとは思うけど、個人的にちょっとだけ気になったのはここ。
ミナトの登場がやや唐突。
距離感の描き方が、もう少し丁寧でもよかった。
勝男の内面描写が少し足りない。
“なぜ変わろうとするのか”を、もう少し彼自身の言葉で見せてほしい。
とはいえ、こういう“余白”が次回への期待にもつながってる気がする。
言葉の重さ、そして自分を取り戻す物語
「レシピだけでいい」の一言が象徴するように、
このドラマは“伝わらない優しさ”を丁寧に描いてる。
誰かのために生きてきた人が、
自分を取り戻すには、時間も勇気も必要なんだな。
第2話はまさに、その“始まりの回”だったと思う。
不器用な2人がすれ違いながらも、
ほんの少しずつ変わろうとする姿に、静かに心を打たれた。
まとめ
鮎美の「自分の好き」に気づく過程が鮮やか。
勝男にも人間味が見えてきて、応援したくなる。
脇役がドラマの厚みを出している。
言葉の重さと優しさが交錯する脚本が秀逸。
この作品、ただの恋愛ドラマじゃない。
“誰かのために生きてきた自分”を、どうやって“自分のために生き直すか”。
その問いに向き合う物語なんだと思う。
まだまだ粗削り感は否めないけどとりあえずもう一話見てみようかな?