今回は、アニメ映画『海獣の子供』を久しぶりのもう一度見た感想を書きます!
この映画はひとことで言うと……「え、なにこれ……よくわからん……でも、なんかすごい……」という感想。笑
でも、それってこの映画にとって、ある意味「正解」かなって思った。理屈じゃなくて没頭して見る感じだと思った。
ということで、今回は“ストーリーの理解”ではなく、“感覚で受け取ったもの”を大切にしながら、『海獣の子供』の感想を語っていこうと思います!
🐚まずはざっくりあらすじ
舞台は夏の日本。
中学生の琉花(るか)は、学校でのトラブルや家族との関係に悩み、居場所を見つけられずにいます。
そんな彼女が足を運んだのは、父親が働く水族館。そこには、海でジュゴンに育てられたという不思議な少年「海」がいた…。
彼と出会ったことで、琉花の世界は一気に広がっていく。
やがて地球規模の“生命の神秘”に触れるような出来事に巻き込まれていくんです。
🎨圧倒的な作画美術と音の世界
まず何よりも語らずにはいられないのが、作画です。
制作はSTUDIO4℃。ここは本当に攻めた表現がうまい。リアルな背景美術とアニメーションが融合して、まるで“現実と夢のあいだ”みたいな映像世界を創り出してくれてます。
とくに水の描写。
波、光のゆらぎ、深海の青、泡のひとつひとつが、本当にこの世界に誘ってくれるような感覚だった。
正直映画館で見るのが1番だけどもう無理なので、できればデカめのテレビサイズで見て欲しい!
水族館の中でさえ“水の気配”を感じるほどの緻密さで、画面の隅々まで生命力が満ちてる。
🌌ストーリーは難解?むしろ“詩”だと思った方がいい
正直に言います。
ストーリーは、はっきり言って「難しい」です。
生命、宇宙、出産、受け継がれる命、誕生、死…。そういった**“神話的なスケール”**のテーマを中学生の少女の目線を通して描いているんですが、説明が少なくて、情報もかなり抽象的。
途中から「この出来事は現実?それとも琉花の想像?」「空は何者?海は神?人間?」といった疑問がわんさか湧いてきます。
でも、途中から僕はもう“理解する”のをやめました笑
代わりに“感じる”ことにしたんです。
すると、「なるほど、これは物語というより“映像詩”だな」ってスッと腑に落ちました。
👧主人公・琉花の「成長」というより「変化」
この映画で面白いのは、主人公がいわゆる“成長”するというより、価値観や世界の見え方がガラッと変わることにあると思います。
最初の琉花は、息苦しい日常の中で、自分の存在意義や居場所を見失っていました。
でも、海や、もう1人の少年、空の存在、そして“生命の根源”に触れるような体験を経て、彼女は徐々に“世界そのものが神秘に満ちている”という感覚に目覚めていきます。
このプロセスがとても静かで、でも力強くて、最後のシーンでは「もうこの子は、以前の琉花じゃないな」と感じました。
言葉にできない、でも確かに変わってしまった自分。
その曖昧さを、美しくも大胆に描いたこの映画に、個人的にはすごく共感しました。
🐬「海」という存在の意味
映画のタイトルにもなっている“海獣の子供”。
この「海」と「空」という二人の少年は、何者だったのか?
ラストに近づくにつれ、彼らが単なる人間ではないことは明白になっていきます。
でも、その正体に明確な説明はありません。
それでも、感じるんです。「あ、彼らは“いのちのメッセンジャー”なんだな」と。
人間の理解を超えた存在が、時に人の姿を借りてやってきて、大きな節目に“何か”を伝えていく。
🌀観終わった後に訪れる“余韻”
『海獣の子供』を観終わって、最初に思ったのは「よくわからなかったけど、心が震えてる」でした。
この映画は、頭で考えるよりも、感覚や本能に訴えかけてくるタイプの作品です。
だから、しばらく時間が経ってから「なんかあのシーンが忘れられないな」とか、「あの台詞、今の自分に響くな」って思える。
正直、万人におすすめできる作品ではありません。
でも、「映画は娯楽だけじゃない」「芸術としてのアニメに触れたい」と思っている人には、間違いなく刺さるはず。
🎬まとめ:海の中に飛び込むような90分
『海獣の子供』は、まるで海に潜っていくような体験でした。
ちなみに僕は海洋恐怖症なので、ちょっと見るのが辛かった部分もありました。
でも、生命の強さ、美しさ。海そのものが命を包み込むような、それ自体が生命のような。
「理解できなくてもいい。感じたものがすべてだ」
そんなメッセージを、あえて難解に、あえて詩的に描いた挑戦的な映画だったと思います。
アニメという枠にとらわれない、表現の可能性を広げてくれる1本。
気になった方は、ぜひ“思考を止めて”、心で観てみてください。
まとめ
映像&音楽が芸術レベル。水の描写に息を呑む
ストーリーは超難解。でも、理解より「感じる」ことが大事
思春期の不安定さや、命の連なりを神秘的に描写
“映画”ではなく“体験”として観るべき作品
そして特筆すべきなのは音楽。
米津玄師が手がけた、『海の幽霊』これがもうマッチしてるなんてもんじゃなく、ほんとに映画に融合していた。元々原作の大ファンだという米津玄師が、この映画のために作ったそうなんですが、やはり天才だと言うことを再確認しました。
正直この曲はそこまで注目されていない曲だと思います。でもまだ聞いたことない方、これだけでも是非一度聞いてみてください。必ず鳥肌が立ちます。
ということで今回は『海獣の子供』の感想でした!
僕は正直、このキャラクターたちの絵のタッチが苦手でした。目がぐりっと大きくて、顔の三分の一を占めるような。でも、見始めて、中盤になる頃にはこの絵がすごくしっくり来ていて、これでよかったって思いました。
「見たあとに言葉にできないけど、何かをもらった気がする」――そんな映画が好きな人にはドンピシャかも。
ではまた次の作品で!
ストーリー ★★★☆☆
(理解しようとせず感性で見てほしい)
キャラクター ★★★★☆
(正直絵の好みは分かれると思う)
話の難解度 ★★★★★★
(まさかの満点越え)
心に響く度 ★★★★★
(命のことを考えたくなる)
総評 ★★★★☆
(見終わった後の心地よい脱力感)
関連記事⇩⇩⇩