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映画『僕の妻と結婚してください』


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映画『僕の妻と結婚してください』

 「人生の終わりに、あなたならどうする?」

 

 この映画は、ある男が自分の死を目前にして、妻の幸せを願いながらも、ユーモアと涙を織り交ぜて人生を見つめ直す感動の物語だ。

 

 最初はタイトルを見たとき、「え? 妻を他の男に譲るってどういうこと?」と驚いたが、実際に観てみると、これはただの三角関係や恋愛映画ではなく、もっと深いテーマを持った作品だった。

 

 映画『僕の妻と結婚してください』は、放送作家・樋口卓治の同名小説を原作とし、織田裕二が主演を務めたヒューマンドラマである。主人公・三村修治(織田裕二はテレビ番組の構成作家として活躍していたが、ある日、突然末期の膵臓がんを宣告される。

 

 医者からの余命宣告を受けた彼は、絶望するどころか、「じゃあ、自分の死後、妻が一人で寂しくないようにしよう」と前向きに考える。ここから始まるのが、「妻に新しい夫を見つけるプロジェクト」という、ちょっと奇想天外な計画だ。

 

 1. コメディ要素とシリアスなテーマのバランス
 この映画の魅力のひとつは、シリアスなテーマを扱いながらも、ユーモアを交えている点だ。普通、余命宣告を受けた主人公の話といえば、涙なしには見られないものが多いが、本作は違う。三村は決して悲観的にならず、むしろ「自分がいなくなった後の妻の人生を、いかに楽しいものにするか」という、ちょっとおせっかいな方向に思考をシフトさせる。この前向きさが作品の持つ独特の温かみにつながっている。

 

 彼が妻・彩子(吉田羊)のために理想の夫候補を探すシーンでは、まるで恋愛バラエティ番組のような雰囲気さえある。「この人ならどうか?」「いや、やっぱりダメだ!」と試行錯誤する姿は、笑いを誘いつつも、彼の妻への深い愛情を感じさせる。

 

 普通、余命わずかと告げられたら、自分の人生を振り返ることに集中するものだが、彼はあくまで「妻の未来」を見据えて行動する。この発想のユニークさが、この映画をただの感動ドラマに終わらせない魅力のひとつとなっている。

 

 2. 織田裕二の演技が光る
織田裕二といえば、踊る大捜査線青島俊作のイメージが強いが、本作ではそれとは全く異なる、繊細で優しさに溢れた男を演じている。

 

 彼の演技には、死と向き合う切なさだけでなく、家族への深い愛情が滲み出ており、観ているこちらの心を揺さぶる。特に印象的だったのは、彼が妻に真実を打ち明けるシーン。涙をこらえながらも、冗談めかして話す彼の姿は、まさに「泣き笑い」の極みだった。

 

 また、吉田羊演じる妻・彩子のリアルな感情表現も素晴らしい。夫の異変に気づきながらも、どこか信じたくない、でも向き合わなければならない、そんな複雑な思いが表情や仕草に現れていた。彼女の演技があるからこそ、物語の切なさがより際立つ。

 

 3. 「愛する人の幸せを願う」とはどういうことか
 映画を観終わって、一番心に残ったのは、「愛とは何か?」という問いだった。多くの恋愛映画では、主人公が相手と結ばれることがゴールになる。しかし、本作はその真逆を行く。愛する人を自分のもとから手放すこと」が、愛の形になっているのだ。これは考えさせられるテーマだ。

 

 三村は、自分がいなくなった後も妻が幸せであることを願い、そのために行動する。しかし、それは本当に妻のためなのか? それとも、自分が安心したいだけなのか? この問いに対する答えは、映画のクライマックスで示される。三村の計画が予想外の方向へ進み、最終的に彼がどのような決断を下すのかは、ぜひ映画を観て確かめてほしい。

 

 4. 涙なしでは見られないラスト
 ラストシーンは、もう涙なしでは見られない。これまで明るく振る舞ってきた三村が、ついに妻への本当の想いを伝える瞬間は、言葉では表せないほど胸に迫るものがあった。死を前にした人間が、最後に何を残すのか——その答えが、この映画には詰まっている。

 

 彩子の再婚相手に選ばれたのは、原田泰造演じる伊藤正蔵いやほんと、原田さんの演技はもう芸人の域を超えてます。本当にかっこいい。普段のふざけたキャラなんて一切感じません。本当に実力派俳優です。好きな俳優さんの一人です。

 

 また後日どこかで書こうと思っているのが、ドラマ『天狗の台所』。これにも原田さんが、主人公の父親役で出演していますが、これまた素敵なお父さんなんです。こういう役をやらせたら日本一じゃないかと思っています。

 

 そして映画の最後には、ただの悲しみではなく、希望の光が差す。観終わった後、不思議と「悲しいけれど、温かい気持ち」になるのが、この作品の素晴らしさだ。

まとめ

 

 『僕の妻と結婚してください』は、ただの感動映画ではなく、人生について考えさせられる作品だった。愛する人の幸せを願う」とはどういうことか? 「自分がいなくなった後、大切な人はどうなるのか?」そんな普段は考えないテーマを、ユーモアと涙を交えて見せてくれる。織田裕二の熱演、吉田羊の繊細な演技、そしてストーリーの持つ温かさが絶妙に絡み合い、観る者の心に深く刻まれる映画だった。

 

 

 もし、まだ観ていない人がいたら、ぜひ一度観てほしい。そして、観終わった後、自分の大切な人のことを改めて考えてみてほしい。もしかすると、この映画をきっかけに、普段は言えない「ありがとう」や「愛してる」という言葉を伝えたくなるかもしれない。

 

 まとめ

 余命を宣告された主人公の映画といえば、大体全体的に悲壮感が漂っているものが多いと思います。しかしこの作品はあくまでも前向き。涙は出ますが、心が豊かになります。自分が同じ立場になったときに、修治のような行動はできないと思います。でも愛する人の幸せな未来を、この世を去っても願い続けるような人間になりたいな。

 

 では最後に、最高の再婚相手が見つかった彩子は、どんな決断を下すのか。そこも見どころです。ぜひ、あたたかい涙を流してください。

 

 

ストーリー        ★★★★★

(これも究極の愛のカタチです) 

    キャラクター   ★★★★★

(織田裕二、吉田羊、原田泰造。そら間違いないやん)

  泣ける度     ★★★★★

(ハンカチよりもタオルを準備で!)

    おすすめ度    ★★★★☆

(嫌いなジャンルでなければみてください!)

    総評       ★★★★★

(タオル必須!)