『鬼滅の刃 無限列車編』炎の如く燃え上がる絆と覚悟
今回は、あまりアニメを見ない僕が本当に面白かった、映画を紹介します。
興行収入からしても、かなりの方が見ているとは思いますが、あえて記事にしたいと思います
『鬼滅の刃 無限列車編』は、まさに「映画史に刻まれる名作」と言っても過言ではない。公開当時から爆発的な人気を誇り、国内外で記録的な興行収入を叩き出した。だが、この作品の本質は単なるヒット作という枠には収まらない。炭治郎たちの成長、鬼との壮絶な戦い、そして何よりも炎柱・煉獄杏寿郎の生き様が、観る者の魂を激しく揺さぶる。今回は、そんな『無限列車編』の魅力について、存分に語り尽くしたい。
無限列車という舞台の特異性
本作の大部分の舞台は「無限列車」という一つの密室空間だ。映画でありながら、広大なフィールドではなく、限られた空間の中で繰り広げられる戦いというのが非常にユニークだった。通常、アニメ映画といえば壮大なスケールの冒険が描かれることが多いが、『無限列車編』では、あえて密閉された列車内という舞台を活かし、緊張感とスピード感を極限まで高めている。
無限列車は、乗客が200名以上も乗っている設定になっており、これはただの背景ではなく、炭治郎たちの戦いにおいて重要な要素となる。鬼殺隊の使命は鬼を討つことだけではなく、「人を守ること」でもある。炭治郎たちは鬼と戦いながらも、乗客を守るために戦略を練り、命を賭して戦う。この二重の使命が、彼らの戦いにさらなる緊迫感を生んでいた。
魘夢の恐怖と夢の世界
本作の前半で立ちはだかる敵・魘夢(えんむ)は、夢を操るという異色の能力を持っている。鬼滅の刃の鬼たちは、それぞれユニークな能力を持つが、魘夢の「夢を見せて精神を侵食する」という手法は、単純な力技ではなく、心理的な戦いを強いるものだった。
炭治郎は家族と再会する夢を見せられ、一時は夢の甘美さに囚われそうになる。しかし、彼の「鬼殺隊としての自覚」と「亡き家族への想い」が、夢からの脱出を促す。ここで炭治郎が自らの首を斬って覚醒するシーンは、彼の精神的な強さを象徴する名場面でした。
また、善逸や伊之助の夢も、それぞれのキャラクター性が際立っていて、シリアスな中にユーモアを挟むことで、観客を飽きさせない構成になっていた。
魘夢が列車そのものと融合し、無数の触手を使って襲い掛かる後半戦は、映像的にも圧巻だった。ここでの戦いは、炭治郎と伊之助のコンビネーションが光る。特に、伊之助の「獣の嗅覚」によって魘夢の弱点を見抜くシーンは、彼の野生的な勘が炭治郎の冷静な判断力と見事に噛み合った瞬間だった。
圧倒的強敵・猗窩座の登場と煉獄の覚悟
魘夢を倒し、乗客たちを守り切ったと思ったその時、突如として現れるのが「上弦の参」猗窩座(あかざ)だ。ここからの戦いこそが、『無限列車編』の真髄であると言えるだろう。
煉獄杏寿郎と猗窩座の戦いは、まさに神々の戦いと呼ぶにふさわしい。猗窩座は驚異的な回復力と破壊的な攻撃力を持ち、不死身の存在として煉獄に襲いかかる。一方、煉獄は一撃一撃に魂を込め、「生きた証」を刻むように戦う。彼の技「炎の呼吸 奥義・煉獄」は、まさに燃え盛る炎そのものだった。
この戦いの中で、猗窩座は何度も煉獄に「鬼になれ」と勧誘する。これは単なる悪役の台詞ではなく、「強さ」と「生き方」の対比を際立たせるものだった。
猗窩座にとっては「強さこそが全て」であり、「弱者は淘汰されるべき存在」だった。一方、煉獄は「強さとは人を守るためにある」と信じ、最後の最後までその信念を貫いた。
煉獄の死と受け継がれる意志
猗窩座との戦いの末、煉獄は致命傷を負う。しかし、彼は最後の力を振り絞り、猗窩座を日が昇るまで足止めする。その姿は、鬼殺隊の柱としての誇りそのものだった。
「俺は俺の責務を全うする!!」
この台詞が響いた瞬間、多くの観客が涙を流したことだろう。煉獄は死を目前にしながらも、後輩である炭治郎たちを励まし、彼らに未来を託す。彼の母の幻影が現れ、「あなたは立派にやり遂げました」と語るシーンは、まさに感動の極致だった。
彼の死は決して無駄ではなかった。炭治郎たちは彼の生き様を胸に刻み、さらなる強さを求めて歩みを進める。その決意が、後の物語へと繋がっていくのだ。
まとめ:『無限列車編』が伝えたかったこと
『鬼滅の刃 無限列車編』は、ただのバトルアニメ映画ではなく、「生きる意味」「強さの本質」「命の尊さ」といった深いテーマを内包している作品だった。煉獄杏寿郎という一人の男の生き様を通して、観る者は「自分はどう生きるべきか」を考えさせられる。
また、映像美や音楽の完成度も高く、特に梶浦由記と椎名豪による劇伴は、戦闘シーンや感動シーンをさらに引き立てた。LiSAの「炎」も、映画の余韻をより深いものにしている。
『無限列車編』は涙なしには観られない。しかし、それは悲しみだけではなく、登場人物たちの生き様に心を動かされるからこそ流れる涙だ。煉獄杏寿郎の生きた証は、確かに私たちの心に刻まれた。彼のように、己の責務を全うする人生を送りたい――そう思わせる、魂を燃やすような映画だった。
もうすぐ鬼滅の刃の新作映画が公開されます。その前にもう一度、無限列車編を見直すのもいいかもしれませんね!
ストーリー ★★★★☆
(シリアスなのに笑えるシーンがあるのはさすが。)
キャラクター ★★★★★
(個人的には伊之助推し)
泣ける度 ★★★★★
(ハンカチ必須です)
おすすめ度 ★★★★★
(おすすめするまでもないとは思いますが)
総評 ★★★★☆
(笑えて泣けて少しグロい)