らふたぁの映画館

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映画『フォール』

 

 

 

 

  映画『フォー

 映画『フォール』(2022)は、極限状態の恐怖を描いたサバイバル・スリラーの傑作だ。監督はスコット・マン、主演はグレース・フルトン

 

 たった二人の登場人物とほぼ一つのロケーションにもかかわらず、観客の心臓をわしづかみにし、手汗をかかせるような圧倒的な緊張感を作り出している。

 

 物語の概要:登るべきか、登らざるべきか

 物語は、ロッククライミング中の事故で恋人を失った主人公ベッキーグレース・フルトン)が、親友のハンターヴァージニア・ガードナー)に誘われて、高さ600メートルのテレビ塔に登るところから始まる。

 

 ハンターは人気の冒険系YouTuberで、「人生はリスクを取ってこそ価値がある」とベッキーを説得。心の傷を抱えながらも、彼女はこの登山を「トラウマ克服の第一歩」と考え、決心する。しかし、塔の老朽化が原因でハシゴが崩れ、二人は頂上に取り残されることに。そこから始まるのは、想像を絶する生存の戦いだ。

 

 絶望のリアリティ:シンプルなのに息が詰まる
 この映画の凄さは、「高さ」の恐怖を最大限に生かした演出にある。600メートルという高さは、日本でいうとスカイツリー(634m)とほぼ同じ。そんな場所で、足元には何もなく、風は吹き荒れ、食料も水もほぼゼロ。そんな状況に観客も放り込まれる。しかも、ただ「助けを待つ」だけではなく、二人は様々な方法で生き延びようとするが、どれもうまくいかない。ドローンを飛ばして救助を求めたり、靴紐を工夫して物を投げたり、命綱を使って下のアンテナまで降りようとしたり…。どれもギリギリの知恵と勇気を振り絞るが、ことごとく失敗する。この繰り返しが、絶望感を増幅させ、観る側の精神を削っていくのだ。

 

 圧倒的な映像美と臨場感
 この映画はCGを極力排し、実際に高所で撮影されたシーンが多いそうです。そのため、まるで自分も塔の上にいるかのような没入感が生まれる。特に、カメラワークが秀逸で、ドローン撮影や主観視点を巧みに使い、観客の「高所恐怖症スイッチ」を押しまくる。足元を見下ろしたときの「吸い込まれそうな感覚」や、強風で体がぐらつくリアルな揺れは、画面からでも落ちるような感覚になった。

 

 人間ドラマと裏切りの展開
 単なる「高所サバイバル」ではなく、物語には人間関係のドラマや意外な展開が隠されている。特に、後半に明かされる「ある真実」は、観客の心をえぐるものだ。序盤から伏線は張られているが、それが一気に回収される瞬間は衝撃的。加えて、二人の関係性の変化も見どころで、命がけの極限状態の中で友情や信頼が揺らいでいくのもリアルに描かれている。

 

 高所恐怖症の人には地獄、でも観るべき!
 この映画を観ると、もう二度と高い場所には行きたくなくなるかもしれない。それくらいリアルで、怖くて、手に汗握る。しかし、それでも観る価値がある。なぜなら、この映画は単なる「恐怖映画」ではなく、「人間が生きるためにどこまで戦えるのか?」を描いた作品だからだ。

 

 『フォール』はシンプルな設定ながら、視覚的な恐怖と心理的なスリルを極限まで高めた、まさに「高さを使ったホラー映画」の傑作だ。観終わった後、しばらくは脚が震えること間違いなし。ぜひ、できるだけ大きなスクリーンでこの恐怖を体感してほしい。実はこの映画には見るもに更なる絶望を与える展開が待っています。ぜひその目で確かめてください!!

 

 

 ストーリー  ★★★★☆

(撮影はほぼ鉄塔の上。臨場感がすごい)

    キャラクター ★★★★☆

(ほぼ二人だけの撮影)

    恐怖   ★★★★☆

(高所恐怖症にはかなりきつい)

    おすすめ度  ★★★☆☆

(好きな人は好きかな)

    総評     ★★★★☆

(時間があるなら見てください)