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映画『ソボク/seobok』

 映画『SEOBOK/ソボク』命とは何かを問うSFアクションドラマ

 

 海外の映画をあまり見ない僕ですが、今回は珍しく韓国の作品を紹介します。

 

 韓国映画『SEOBOK/ソボク』は、2021年に公開されたSFアクション映画であり、コン・ユとパク・ボゴムという二大スターの共演でも話題になった作品だ。監督はイ・ヨンジュ(『建築学概論』)、ジャンルはSFだが、派手なアクションだけでなく、「命とは何か」「死とは何か」という深いテーマを扱っている。

 

 映画を観た率直な感想としては、「予想以上に哲学的で感情に訴えかける作品だった」。パッと見は、超能力を持つクローンと元情報局員が繰り広げる逃走劇、という王道のバディアクションのように思える。しかし、実際に観てみると、単なるエンタメ映画ではなく、生命倫理や人間のエゴ、死に対する恐怖といったテーマが強く前面に押し出されていた。そのため、アクションを期待していた人にはやや地味に感じるかもしれないが、心にじんわりと染み込むような物語が待っている。

 
 ■ あらすじ
 余命宣告を受けた元情報局員ミン・ギホンコン・ユ)は、ある日、国家機関から特別な任務を言い渡される。それは、人類初のクローンであり、不老不死の秘密を持つ存在「ソボク」(パク・ボゴム)を護衛し、安全な場所へ移送するというもの。ソボクの細胞には再生能力があり、彼のDNAを解析すれば人類は死を克服できるかもしれない。しかし、ソボクの存在を巡って様々な勢力が動き出し、彼らの旅は決して平穏なものではなくなる。

 

 ギホンは最初、ソボクを「ただの実験体」としてしか見ていなかったが、次第に彼の純粋さや孤独を知り、少しずつ心を開いていく。一方のソボクも、初めて世界を知り、人間の感情や死という概念について学んでいく。二人の関係性が深まる中、国家、民間企業、そしてギホン自身の過去が絡み合い、物語は予想もしない方向へ進んでいく。


 ■ 魅力①:コン・ユとパク・ボゴムの演技力
 本作の最大の見どころの一つは、コン・ユとパク・ボゴムの演技だ。

コン・ユは、最初は冷たくてシニカルだが、徐々に人間味を取り戻していくギホンを見事に演じていた。特に、死の恐怖に怯えながらも、ソボクとの交流を通じて変化していく過程が繊細に表現されており、観ている側も自然と感情移入してしまう。『新感染 ファイナル・エクスプレス』や『トッケビ』で見せたカリスマ性とはまた違った、壊れかけた男のリアルな表情が印象的だった。

 

 対するパク・ボゴムは、感情を抑えた無機質な演技の中に、純粋さや好奇心を滲ませる絶妙な演技を披露。彼の演じるソボクは、人類の希望でありながら、同時に孤独な存在でもある。まるで生まれたばかりの子どものように世界を学びながら、時折見せる感情の爆発が観る者の心を揺さぶる。特に、ギホンに対して少しずつ信頼を寄せるようになっていく表情の変化が素晴らしく、彼の演技力の高さを改めて実感させられた。


 ■ 魅力②:哲学的なテーマとメッセージ
『SEOBOK』は単なるアクション映画ではなく、「死」という普遍的なテーマを深く掘り下げている。

 

 ギホンは余命わずかで、死の恐怖に取り憑かれている。一方でソボクは不老不死の力を持ちながらも、自分が生きる意味を知らない。二人の対比が物語の核になっており、「永遠の命は本当に幸福なのか?」という問いが何度も投げかけられる。

 

 また、ソボクを巡る人間たちの欲望もリアルだ。彼の力を利用して富と名声を得ようとする科学者や、彼の存在を脅威とみなして排除しようとする政府。ソボク自身が「実験体」としてしか扱われないことが、生命倫理の問題を鋭く突きつけてくる。

 

 特に印象的だったのは、ソボクが「人間はどうして死を怖がるの?」と問いかけるシーンだ。観ている側も、自分ならどう答えるだろうかと考えさせられる。


 ■ アクションと映像美
 SF映画としてのビジュアル面も見応えがある。特に、ソボクの超能力を使った戦闘シーンは迫力満点。彼が念動力で敵を吹き飛ばすシーンはまるでアニメのようなダイナミックさがあり、スローモーションを活かした演出もかっこいい。

 

 また、映像全体の色彩が青みがかったトーンで統一されており、作品全体に冷たく幻想的な雰囲気を与えている。この独特な美しさも本作の魅力の一つだ。


■ まとめ
『SEOBOK/ソボク』は、ただのSFアクション映画ではなく、「命とは何か」「死とは何か」という深いテーマを持った作品だった。コン・ユとパク・ボゴムの演技が素晴らしく、キャラクターの成長や関係性の変化が丁寧に描かれている。また、映像美やアクションも見応えがあり、静と動のバランスが絶妙だった。

 

 派手なアクションを求める人には少し物足りないかもしれないが、心に残る映画を求める人にはぜひオススメしたい。観終わった後、しばらく余韻に浸ってしまうような作品だった。

「不老不死は本当に幸せなのか?」
その問いの答えを探しに、『SEOBOK/ソボク』を観てみてはいかがだろうか。

 

 ストーリー  ★★★★★

(二人の感情の変化が面白い)

    キャラクター ★★★★★

(メインの二人がかっこよすぎる)

    泣ける度   ★★★★☆

(五回見て五回泣いてます)

    おすすめ度  ★★★★☆

(心に響きます)

    総評     ★★★★★

(最後が衝撃です)